ダム事典[用語・解説](ページ:04)
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岩級区分 (がんきゅうくぶん) |
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ダムの基礎地盤について、その硬さを示す等級区分です。いくつかの区分方式がありますが、A級からD級に分けるのが一般的で、さらにC級は細区分してCH、CM、CLに分けられます。このうちA級は極めて硬い岩で、日本にはなく、D級は断層があったり、土に近いものであったりしてダムの基礎地盤としては不適です。コンクリートダムでは通常CM級以上が必要とされます。 |
環境アセスメント (かんきょうあせすめんと) |
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→環境影響評価 |
環境影響評価 (かんきょうえいきょうひょうか) |
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環境アセスメントといわれることもあります。開発事業などを始める前に、その事業が環境に与える影響を調査、予測、評価し、その結果を公表し、意見を聞いて、環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。1969年にアメリカで制度化されて以降、世界各国でこの制度が取り入れられています。 日本では、昭和59年に環境影響評価実施要綱が閣議決定され、それに基づき実施されてきましたが、平成9年6月に環境影響評価法が制定され、法制度となりました。環境影響評価法は平成11年6月から施行され、これに基づいて大規模な事業について環境影響評価が実施されています。ダムについては、湛水面積100ha以上のダムが必ず影響評価を行う事業(第一種事業)に、湛水面積75ha〜100ha以上のダムが影響評価が必要かどうか個別に判断する事業(第二種事業)になっています。 法律に基づく環境影響評価は、ダム事業としては、水資源開発公団(現水資源機構)の戸倉ダム建設事業で初めて実施され、この他に、小石原川ダム、伊良原ダムについては既に手続きを終了しています。 法律に基づくものの他に、都道府県の条例に基づくもの、自主的に実施するものなどもあります。 |
慣行水利権 (かんこうすいりけん) |
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→水利権 |
監査廊 (かんさろう) | ||||||||||||
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ダム堤体内部に、完成後の監査、各種の測定、堤体および基礎の排水、グラウト作業、ゲート操作などを行うために設けられた通路。通廊ともいいます。英語で inspection gallery(インスペクション・ギャラリー)と呼ばれることもあります。
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間接流域 (かんせつりゅういき) |
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通常ダムは河川を堰き止めて河川水を貯留するものですので、そのダムの集水区域の水がダムに集まることになります。ダムの中には、流域外の他の河川のダムなどから水路を建設して水を引き込むようなものもありますが、この場合、他の河川のダムなどの集水区域を間接流域といいます。これに対し、そのダムの本来の集水区域を直接流域といいます。 |
岩着コンクリート (がんちゃくこんくりーと) |
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岩盤と接する個所で使用されるコンクリート。配合は外部コンクリートと同等な場合が多く、通常打設リフト厚の1/2(ハーフリフト)で数回打設されます。 |
岩着コンクリート (がんちゃくこんくりーと) |
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コンクリートダムの堤体打設の際に、岩盤と接する個所に使用されるコンクリートのことです。外部コンクリートと同等なコンクリートを使用するが多いようです。通常の打設リフト厚の1/2(ハーフリフト)で打設され、場所によって異なりますが数回程度打設されます。 |
岩着部 (がんちゃくぶ) |
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ダム堤体が岩盤と接触する部分です。着岩部とも言うようです。遮水性の確保が非常に重要な個所で、使用材料、施工方法は標準部と区別し、より入念な施工が行われます。 |
岩盤検査 (がんばんけんさ) |
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岩盤の状況を調べ、設計時に想定していた岩盤状況が実際に得られているかどうかを確認する検査です。ダム建設の場合、コンクリートダムでは打設前に、フィルダムでは盛立前に行われ、検査官は原則として河川管理者です。 農政局発注のダムなどでは、地盤検査と呼ばれます。 |
管理棟 (かんりとう) | |||||||||
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ダムの主要施設を操作したり、計測・監視したりするなど、ダムの管理を行うための建物です。管理所などと呼ばれることも多いようです。通常ダムの近くに建てられます。
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既往最大洪水 (きおうさいだいこうずい) |
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対象とする河川の過去における洪水記録の中で、洪水流量が最大であった洪水のことです。 |
既往最大流量 (きおうさいだいりゅうりょう) |
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過去の流量記録の中で最も大きい流量をいいます。過去最大流量ともいいます。 |
気化冷却 (きかれいきゃく) |
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コンクリートを打設する際の、プレクーリング工法の一つ。水が蒸発する際の気化熱が極めて多きいことを利用し、コンクリートの構成材料である骨材に付着している水分を低温あるいは低温低湿度空気によって気化させて、骨材の冷却を行うものです。 |
基礎岩盤 (きそがんばん) | ||||||||||||
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ダムの重さを支える土台となる岩盤。
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基礎掘削 (きそくっさく) |
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→ダムの造り方 |
基礎地盤 (きそじばん) |
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ダムの重さを支える土台となる地盤。 |
基礎処理 (きそしょり) |
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ダムを支える基礎地盤について改良のための処理を行うこと。ダムを支える地盤は大きな荷重に耐えることができる”強さ”と、水もれを防止する高い”水密性”が必要です。状況に応じて、グラウチング、コンクリート置換え工、連続地中壁、フィレット工などがあります。 |
基本高水 (きほんこうすい) |
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→河道計画上の流量 |
基本高水流量 (きほんこうすいりゅうりょう) |
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→河道計画上の流量 |
逆調整 (ぎゃくちょうせい) |
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水力発電所からの放流量いったん調整池に貯め、下流河川の水位変動を安定化させるために調節すること。 電力の需要は昼と夜では大きく異なり、また時間帯によっても変化します。水力発電は原子力や火力に比べ短時間に発電量を増減させることができるので、発電量の調節は主に水力発電で行われます。この結果、水力発電所では、昼間大量の水が発電放流されますが、夜間は放流されないなど放流量の変動が大きく、そのままでは下流の河川水位が大きく変動してしまうことがあります。このような場合、発電所からの放流を一旦調整池に貯め、調整池からの放流量を調節して、下流河川の水位変動を安定したものとすることを逆調整といいます。このときの調整池を、逆調整池と呼びます。 |
逆調整池 (ぎゃくちょうせいち) |
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→逆調整 |
キャットウォーク (きゃっとうぉーく) | |||||||||
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狭い鋼製の通路のことをキャットウォークと呼びます。ダムでは、主にアーチダムの下流側に設置され、施工中には作業用通路として、完成後は点検・補修等に使われます。(→知識を深める:キャットウォーク(川治ダム))
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キャリヤ (きゃりや) |
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ダンプトラックが入れない不整地、軟弱地などで土砂、材料などを運搬するために使用される運搬車。不整地運搬車とも呼ばれます。 荷台は、通常ダンプ形式です。走行装置は、クローラで、ゴムクローラ式が多く、鉄クローラ式もあります。 荷台が360度回転可能なものもあり、小回りがきき「くるくるダンプ」とも呼ばれているようです。(→知識を深める:建設機械コレクション(1)〜載せて運ぶ) |
共同企業体 (きょうどうきぎょうたい) |
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複数の建設業者が共同責任で工事を請け負う方式。また、そのために結成された事業組織体。技術力の補完、危険の分散、中小事業者の受注機会の確保などのために行われます。JV(joint venture)、ジョイントベンチャーともいいます。 |
許可水利権 (きょかすいりけん) |
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→水利権 |
魚道 (ぎょどう) | |||||||||
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堰やダムのように河川を横断して設置される魚類の移動を妨げるような構造物があるときに、魚類の移動が可能となるように設置される人工的な経路。日本では、主にアユ、サケを対象とした階段式魚道が多いようです。ダムでは、水位の落差が大きく、水位変動も大きいなどの困難な点がありますが、技術開発や工夫を重ね、設置されてきています。(→日本のダム:魚道)
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クーリング (くーりんぐ) | |||||
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クライミングクレーン (くらいみんぐくれーん) |
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→タワークレーン |
グラウチング (ぐらうちんぐ) |
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一般に、セメントミルクやモルタルを空隙などに充填することを言います。グラウトということもあるようです。ダム建設では、基礎地盤の改良などのため、セメントミルクを用いてグラウチングが行われます。 ■カーテングラウチング ダムの基礎岩盤にカーテン状にグラウチングすることによってグラウトカーテンを形成することです。これによって、遮水性を高め、貯水池からの漏水を防ぎます。通常ダムの直下や両翼部で行われます。 カーテングラウチングのうち、ダム堤体敷きの外側の部分をリムグラウチングと呼びます。堤体や取り付け道路の上から扇状に施工することもありますが、範囲が広いときはリムトンネルと呼ばれるトンネルを掘ってその中から施工します。 ■コンソリデーショングラウチング コンクリートダムの基礎岩盤について、地表からおおむね5〜10mの比較的浅い範囲を対象に行われるグラウチングです。基礎岩盤の強度や変形性を改良することが主な目的ですが、遮水性の改良にもなります。 ■ブランケットグラウチング フィルダムの遮水ゾーンと基礎岩盤との連結部分で実施するグラウチングです。岩盤内の割れ目にセメントミルクを注入するなどして、遮水性を高めます。 |
グラウト (ぐらうと) |
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→グラウチング |
クラック (くらっく) |
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コンクリートの表面に発生する亀裂やひび割れのことです。コンクリートを打設する際は、クラックの発生を防ぐため様々な対策が講じられます。 髪の毛の太さくらいの小さなクラックはヘアクラックと呼ばれます。一般に幅0.2〜0.3mm以下のひび割れを指し、通常は構造には影響しません。 |
クラッシャ (くらっしゃ) |
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岩石などを砕いて、適当な大きさの砕石を作る機械。ダム建設現場では、原石山から採取した岩石を元に骨材を製造するために使われます。 一次破砕機、二次破砕機、三次破砕機に分けられます。一次破砕機は粒径100〜500mmくらいにする機械で、粗砕機とも言われ、ジョークラッシャやジャイレートリクラッシャが使われます。二次破砕機は、粒径10〜150mmくらいにする機械で、中砕機とも言われ、コーンクラッシャやインパクトクラッシャなどが使われます。三次破砕機は、粒径10mm以下にする機械で、細砕機または製砂機とも言われ、ロッドミル、インパクトクラッシャなどが使われます。 |
グラベルフィルダム (ぐらべるふぃるだむ) |
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グラベル(gravel)とは砂利のこと。ロックフィルダムのような比較的大きな岩は使わず、川で採取した砂利を用いて盛立てたダムです。日野川ダムは中央コア型グラベルフィルダムです ロックフィルダムの一種と考えられますが、アースダムとして扱うこともあるようです。 |